ラカスの月28日 黒猫亭にて
俺は、トラヴァーからの旅路を終えて、次の仕事を探す為に黒猫邸にもどってきた。一緒に仕事をするメンバーを待つためだ。3日も立たずに、トロールウォリャーのルバックとヒューマントルバドールのローランが黒猫邸に顔をだした。俺達は乾杯をし、冒険談を語り、ローランが歌い、久しぶりの再開を祝した。
ラカスの月29日 バザールにて
俺達がつぎなる仕事を求めていると、黒猫邸の男が声を掛けてきた。××××の所で仕事があると言う話だ。俺達は標的を定めるために、依頼人の元へ出かけることにした。
雇主の××は、元アデプトでスロールでは名の知れた調合屋だ。雇主の出した依頼は、セルボスジャングルより、ブラッドウィドーを取ってくる事だった。ブラッドウィドーは多年性の植物で実も花も血の様に赤く。群生することから、咲いている有り様を血の海などと呼ばれる事のある植物だ。実は甘酸っぱく、いろいろな薬に利用されることも多いのだが、ブラッドウィードが花を咲かせるのはセルボスだけなんだ。
俺は、懇意にしている店からの紹介でもあり、主人の態度からもおいしい仕事とは程遠いが、受けるつもりで話を聞いていた。ローランは、気乗りしがちだったが、主人が友人の形見も同時に探しているというと俄然やる気になったようだ。ローランの矢を撃つ目的には、歌の題材というのも大きなポイントになるのだ。俺達3人は主人と契約を交わして、出発の準備に取りかかった。長期移動の為の食料とかはルバックが用意して、俺はセルボスまでの行路と、地図。それに、ジャングルに入ってからの地図を書くための空の羊皮紙も買い込んだ。
ソラスの月3日 スロールの南、野営地にて
セルボスジャングルまでの行程は、天候にも恵まれて大きな危険にも見舞われずに進んだ。俺達に与えられた目標は二つ。一つは最初の話にあったブラッドウィード。二つ目はローランを動かした、形見の兜の発見だ。難度の高い兜の発見だが、前金をもらった以上は兜の発見を第一の念頭に置かなければいけないだろう。だとすれば、矢を撃つのに必要なのは猿の仮面をつけた人間を探すことだろう。
ソラスの月8日 セルボスジャングルにて
セルボスジャングルに入り3日が経過していた。ジャングルに入ってからも俺達の幸運は続き、天候やモンスターに悩まされることはなかった。ジャングルを流れる大河まではまだしばらく進必要があるだろう。大河まで近づけばブラッドウィードの群生にぶつかる可能性も高くなるだろう。しかし、猿の仮面の住民たちの手がかりはなにもなかった。
ソラスの月10日 セルボスジャングル、原住民の村にて
今日は巨大な蛇の襲撃により始まった。すでに眠りに入ってはいたがルバックの警戒で目を覚ました。俺は上空からルバックとローランが地上から蛇を攻撃した。さすがセルボスの蛇だけあってその巨体はルバックすらもくわえ込むことが出来る程だった。俺は蛇の目玉を貫き、ルバックはその巨体で蛇の進行を止め、ローランが宙に舞って蛇を両断した。
しかし襲撃から始まった一日だったが、思いもよらぬ展開で事が進んでいった。俺達が再び出発して太陽がジャングルを真上から照らし始めた頃、先の方で猿が威嚇のときに発生させる叫びが聞こえてきた。俺は素早く木々の間をぬけ様子をみに飛んだ。木々の間を抜けると、巨大な蜘蛛が、猿の集団に襲いかかっている所だった。俺は素早くローランとルバックに警戒を告げて弓に矢をつがえた。俺の警戒音に気づいてが蜘蛛の顔がこちらに向いた。体つきは今まで戦ってきたものより小柄だが、その醜悪な顔は間違えなくジェフスラだろう。俺は木々の間より矢をつがえながらジェフスラを観察した。通常のジェフスラより小型で動きも早い。そして何よりやっかいなのは尻から放つ粘着質の糸だ。その糸はあの氷の網のように凶悪ではないが森を飛び回る猿を捕えることができた。奴の体の脇には白い網に絡まれた猿が抱え込まれていた。
ルバックとローランもすぐに状況を把握して参戦した。ジェフスラの視界を閉ざし、捕えた猿も開放したころ、森のなかより猿の仮面をつけた原始的な人間達が現れた。ジェフスラという危険な存在にも出会いながらも、第一の目的である兜に対しての視界が開けた。
俺は引き続きジェフスラに対して攻撃を繰り返し、ルバックは原住民に対しての警戒をしながら攻撃、ローランが蜘蛛に止めをさした。
猿の仮面の人間達はなにやら、わらかない言葉で喋っていたが、ローランが通訳に入り、詩と会話でうまく原住民に迎えられることになった。原住民の中には我々に対しての怯えなどが顔に出ているものもいたが、セルボスの原住民は危険な存在とされている中、迎え入れてくれただけでも、つきがつづいているといえるだろう。
ソラスの月13日 セルボスジャングル、野営地にて
俺達は原住民のポーをつれ森の中に入っていった。村に案内された晩、ローランの詩によって原住民たちに多くの歓迎をうけた。そしてローランは族長の持つ第一の標的である兜に対してまさに真っ直ぐに矢を撃つ出した。つまり、要求したと言うわけだ。族長はローランに対して森の外に巣くうジェフスラの退治を条件に兜を出しても良いと言ってくれた。こうして、第一の目標に対して弓を引き絞ることが出来た。
野営をしつつ、ジェフスラの住処に俺達は進んでいった。行路や野営場所は、ポーと森の守り手の子と呼ばれる猿達に導かれた。ジェフスラの巣に向かう間に、逆にジェフスラに襲われた事があったが、それぞれの活躍により苦難を脱した。そして目指すジェフスラの巣に近づいた。
ソラスの月15日 セルボスジャングル、野営地にて
俺は巣の観察に時間を掛けるようルバックとローランを説得した。弓を引き絞り、矢までつがえているのだ。ここで矢を撃つタイミングは外せない。俺達はポーの協力で森の中で休息出来る場所を作り、ルバックと俺とで交代で見張りについた。しかし決定的なチャンスは訪れなかった。姿は見えども巣穴からジェフスラが全身を巣穴から出すことはなかったのだ。
ソラスの月19日 セルボスジャングル、原住民の村にて
俺達の出した作戦は、ローランが歌声でジェフスラを呼び出し、洞窟の外でルバックが足止め、俺は上空から攻撃しポーも遠くから槍を投げてジェフスラを撃破すると、いうものだ。
ローランが洞窟の中にリュートをかなで曲を紡ぎ出した。ローランが声を発してリュートを方に担いで、後ろに下がる。ルバックは気合いの声を上げ剣を振り上げた。視界に穴から這い出してきたジェフスラが姿を表わした。俺は奴の目に二十丸の的をうえつけに行く。ジェフスラは今まで戦ってきたものより大きいサイズ。奴は巨体をゆらしローランとルバックに猛威を振るう。奴は頭が良く一気に回りから攻撃されたとすると、バックして穴の中に後戻りし始めた。俺はつかさず高度を下げて奴に目標を定める。ジェフスラはすかさず糸を投げルバックを捕えた。ローランは再びリュートを構え直し、リュートをかなで始めた。ジェフスラはカマを掲げルバックに襲いかかる。カマがルバックの体を切り裂く。カマから滴り落ちる液体からカマに毒液が塗られてることがわかる。早めに決着をつけなくては俺は素早く矢を打ち込みジェフスラの右目を潰しに行く。二重丸の真中に矢が突き刺さる。
ローランは、再び剣に持ち替えてジェフスラを切りつける。ジェフスラもオオカマを振り上げてローランを吹き飛ばす。ジェフスラはローランに覆い被さりかみつく。ローランも毒の攻撃を食らってしまった。
俺はジェフスラに矢を打ち込み、奴の目の前に飛んでいく。首筋の毛のないところに矢が突き刺さる。ルバックもローランを庇うように大剣を振り上げる。ジェフスラはローランの上から素早く動いて突進してくるルバックに強烈なカマをぶつける。ルバックはくらいながらも剣をジェフスラに剣を突き立てる。
ヨロヨロと体を起こしたローランとルバックの様子に異変が起こる。体に毒がまわってきたんだ。一刻の猶予もなくなってきた。俺は矢を構え右目をつぶった。俺の左目がジェフスラの左目に焦点を合わせる。指一本一本に集中力とマナを貯める。ジェフスラの顔が苦痛にゆがむ。ローランが滑り込む様にジェフスラの顔の下から剣を突き立てたからだ。ぐらつくジェフスラの左目に為こんだ力と共に矢を打ち込む。矢は風を切り渦をまき、ジェフスラの左目を貫通して頭を吹き飛ばした。ジェフスラは巨体を崩した。
俺は十二神全てのパッションに感謝を上げた。
しかし、ジェフスラの毒はルバックとローランを襲い続けていた。ルバックは気丈にも倒れたローランを担ぎ、木の脇までつれていったがルバックの表情にも苦痛が刻まれてる。俺はすぐに二人の為の薬草を探しに飛びだした。
ソラスの月30日 黒猫亭にて
その後は、全てが上手く言った。村ではローランを俺達の代表者ということで英雄と認め。宴を開いて貰いそして、俺達の目指す標的である。兜をローランが受け取ることができた。
それに、協力的な村人達からブラッドウィードの事も聞き、宴の翌日には第二の標的である目的にも矢を突き立てる事が出来た。
こうして、俺達の長かった旅は終わりを告げる。俺達は×××から報酬を受け取り、ローランは、×××の再開の涙からあらなた詩の題材ももらったようだ。
そして俺達はここに戻ってきた。次の冒険のためにだ。ジェフスラの洞窟の奥には新たな伝説の扉が待っていたからだ。俺の荷物の中にはあそこに戻るための地図が、つぎの伝説が弓が引かれるのを待っているからだ。
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